基礎・呼吸不全

基礎

呼吸不全

目次

  • 呼吸不全の基礎(1型・2型の違い)
  • 酸素療法の注意点
  • COPD患者に酸素を上げすぎる危険性
  • 現場で役立つ“実践のコツ”

■ 呼吸不全とは?

呼吸不全とは大気吸入下でPaO₂<60mmHg、またはPaO₂<60mmHgかつ PaCO₂>45mmHg の状態を言います。

つまり、酸素を吸っていない状態でPaO₂<60mmHg、酸素の取り込みが悪い状態をⅠ型呼吸不全

酸素を吸っていない状態でPaO₂<60mmHgかつ PaCO₂>45mmHg 、酸素の取り込みも悪くて二酸化炭素を上手く排出できない状態をⅡ型呼吸不全と言います。

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攻略するにはまず敵を見定めるんだ!


Ⅰ型呼吸不全(低酸素血症)

先ほど解説しました、酸素の取り込みが悪い状態を言います。

酸素の取り込みが悪くなる原因としては以下が挙げられます。

原因疾患

  • 肺炎
  • 心不全(肺水腫)
  • ARDS
  • 肺塞栓
  • 間質性肺炎
  • 気胸 など

と、なります。結局肺では息を吸い、肺に空気を取り込みます。肺では空気と血液が触れ合い、ガス交換(酸素は肺から血管内へ、二酸化炭素は血管内から肺へ)を行います。これを内呼吸と言います。この内呼吸がしづらくなる=肺の空気と肺の血管の間にミスマッチが起こる状態、これがPaO2が低下する原因となります。

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ワンポイントアドバイス!

二酸化炭素は酸素よりガス交換が行われやすく、呼吸が出来ていればPaCO2が血中に溜まることは少ないです!

よってⅠ型呼吸不全に対しては酸素投与が一番の治療になります。

治療の方針

  • 基本的には酸素投与(SpO₂ 92〜96%)
  • 選択肢:鼻カニュラ、酸素マスク、リザーバーマスク、HFNC
  • 最重要:原因治療(肺炎に対しての抗菌薬・心不全に対する利尿薬など)

Ⅰ型呼吸不全に対する酸素療法は身体の機能(DO2)を保つための一時しのぎでしかありません。

Ⅰ型呼吸不全に陥っている原因を治療することが何よりも大切なのです!


Ⅱ型呼吸不全(高CO₂血症)

次にⅡ型呼吸不全はPaCO2が高い状態、つまり血中の二酸化炭素を外に排出できない状態を言います。

二酸化炭素が排出出来なくなる原因としては以下が挙げられます。

原因疾患

  • COPD増悪
  • 気管支喘息の重症
  • 肋骨骨折、フレイルチェスト
  • 神経筋疾患(ALS、ギランバレー)
  • 薬剤性(オピオイド・鎮静)

上記病態の並びだけ見ると一貫性がなく見えますが、これらは呼吸がしづらくなる病態になります。COPDは気道抵抗が高く吐きづらい、喘息は気道が細くなって吐きづらい、肋骨骨折は痛みで呼吸が吸えない、神経筋疾患は呼吸中枢や呼吸筋が不十分となり呼吸が少なく浅くなる、薬剤性は呼吸が少なくなる。

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ワンポイントアドバイス!

この病態=Ⅱ型呼吸不全」と覚えるより、この病態はこうなるな、という所から連想していくと覚えるまでもなく理解も深まります!

治療の方針

  • 高濃度酸素はとても危険→CO2ナルコーシスの危険性大
  • SpO₂ 88〜92%が目標
  • CO₂上昇が強い場合は→ NPPV(BiPAP)を早期に使用
  • pH<7.25なら挿管も検討

呼吸不全で知っておくべき6つの注意点

①酸素=治療ではなく「サポート」

先ほども言いましたが、酸素投与は“原因を治す治療”ではない。 肺炎・心不全・PEなど、背景疾患を治療しないとSpO₂は改善しないことがあります。


② COPD患者への酸素上げすぎは危険

  • V/Qミスマッチ悪化→身体には低酸素時に低酸素部分の肺と密接する血管を収縮させ、逆に酸素を供給できる部分の血管を広げる自己防衛が機能します。しかし高濃度の酸素を投与することで低酸素部分の血管を広げてしまい、実際そこでは内呼吸が行われない=換気(V)と血流(Q)のミスマッチが起こる。
  • CO₂ナルコーシス→人には化学受容体と言ってPaO2やPaCO2の上昇・低下を察知して呼吸を早くしたり遅くしたり調整する機能があります。Ⅱ型呼吸不全でPaCO2は普段から高い人はPaCO2の調整機能にバグを起こしており、過剰に酸素投与が行われPaO2が高くなると「身体に酸素がある!呼吸しなくても大丈夫だね!」と呼吸が少なくなります。すると身体のPaCO2は余計に増加し、意識障害やアシデミア(pH<7.25)を引き起こします。

よって、SpO2は88〜92%を維持するのが安全


③ SpO₂は「数字」と「波形」で判断

  • 低灌流・体動・ネイルなどで誤差が大きい
    → 波形がきれいか必ず確認する、そして数字を確認する。という順序が大切です。

④ 酸素流量とFIO₂の関係を理解する

  • 鼻カニュラ:1-4L/min、FIO₂ 0.24-0.40
  • 酸素マスク:5-8L/min、FIO₂ 0.4-0.6
  • リザーバーマスク:6-10L/min、FIO2 0.6-0.9
  • HFNC:30-60L/min、FIO2 0.21-1.0+加湿が可能

⑤ 乾燥と粘膜損傷に注意

  • 5L以上は加湿が望ましい
  • HFNCは加温加湿で快適性が高い

⑥ 呼吸回数は“命のバイタル”

一般的に呼吸回数>25回/minを頻呼吸と言います。呼吸回数が多い場合は呼吸がしんどい、または痛みがある、炎症がある、などの原因があることを意味します。心電図、血圧、SpO2と同じくらい呼吸回数にも注目してみてください。


現場でよくある質問(Q&A)

Q1. “とりあえず2L”って危険?

COPDなどCO₂貯留者は危険。
1LでもCO₂が上がる可能性あり。
まずはSpO₂とRRをセットで観察


Q2. HFNCは1型と2型どちらにも使える?

→ 両方に使えるが役割が違う

  • 1型:高FIO₂・PEEP効果
  • 2型:洗い換気+わずかな換気補助
    重度のCO₂貯留はNPPVが優先

Q3. 酸素上げてもSpO₂が上がらない理由は?

原因疾患の治療が追いついていない
肺炎・PE・心不全などの可能性を要チェック


まとめ

はむ
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呼吸不全は「Ⅰ型=酸素化障害」「Ⅱ型=換気障害」で分類します。 酸素療法は病態を理解して使わないと、CO₂ナルコーシスなど重大リスクがあるので抑えておこう!!

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